アフリカ遺児支援100年構想 始動!!

 「友だちの家にホームステイ(民泊)した時のこと。行った日も翌日もその翌日も食べものは何も出ない。雨水で飢えをしのぐ。4日目やっとポーショ(とうもろこしの粉を水でかため豆のスープにつけて食べる)が出た。親戚の人が仕事にありつけてお金をもらったそうだ」。國安奏さん(大奨3年)の話しで、アフリカの貧困は次元が違うと伺えました。

 10月2日から25日まで、あしなが育英会・玉井会長を団長に、「第1回アフリカ視察団」がウガンダルワンダ南アフリカの3か国を訪問。各国の教育大臣、政府高官、大学教授、NGO代表などと教育支援について活発な意見交換をし、駐在の日本大使からレクチャーを受けました。
 玉井団長談。「小学校から高校まで一貫校をつくり、各国各学年1人(サハラ以南の48か国)の基礎学力とくに英語力(TOEFL550点以上)を養い海外に留学させる。卒業後故国のために貢献する“心塾精神”も身につけさせる。
 まず、世界の人々にアフリカの貧困を知ってもらうために、子どもを長期にルポして機関紙、単行本、映像にして啓発活動をする。同時に本会(金木正夫ハーバード大学准教授)と神戸大学(高橋基樹教授ら)の共同学術調査を、明年4月から開始する。
 同時に、私たちが発明した“あしなが募金”の世界への輸出で、資金を造る。40年かけ8万人を高校・大学に進学卒業させた寄付メソッド(方法)は各国で役立つはずだ。そのため募金活動の先兵となる職員と学生に貧国の実態を肌で知ってもらうために、現地視察をする」
 卒業生でウガンダに留学した小林一行さん(東京藝術大学大学院修了・29歳)に設計を依頼したイメージ図を持参し、ウガンダ教育相から積極的協力の言質を得ました。経済指標からも人口論的にも、30〜50年先にアフリカ経済が離陸し消費大国になる説が常識化しており、その時が貧困削減の好機です。子どもの貧窮ルポ「1日1ドルの世界」の機関紙連載も開始しました。
 冒頭の國安さんが言う。「ウガンダに帰りたい。人が人の心をもって生きているから」。これこそが私たちの前途の苦行に明るい灯となりそうです。
▼2010年10月14日付・朝日新聞朝刊