ASHINAGAウガンダ「第1回テラコヤ卒業式」

 記念すべき第1回「テラコヤ卒業式」を、2011年1月28日、ASHINAGAウガンダ・レインボーハウスで行いました。
 07年10月に13人の生徒でスタートした「ASHINAGAテラコヤ」は4年目に突入。今年度13人の新入生を迎え(ウガンダの学校年度は1月末から)、7歳から16歳まで55人がテラコヤで勉強しています。昨年度から教師も2人体制になり、カリキュラムをより充実させ、少しずつ進歩してきました。

 そんなテラコヤで、このたび、小学校4年生レベルを修了した7人。卒業式当日は日差しが強い中、テラコヤホールにテラコヤ全生徒と保護者が集合しました。式が始まる前、卒業生たちは少し緊張した様子。彼らが入場すると100人以上の拍手と歓声が会場に鳴り響き、卒業生たちは満面の笑顔になりました。一人ひとりが英語で自己紹介をしそれぞれの将来の夢を発表するたび、大きな拍手と歓声がわき起こりました。
 ASHINAGAウガンダに登録されているエイズ遺児の中でも貧しい生活を強いられ、家庭環境も複雑なテラコヤ生徒たち。ウガンダには1学期の学費が2万シリング(約1000円)から70万シリング(約3万5000円)の公・私立小学校があります。ウガンダ政府は公立小学校の学費を“無料化”しましたが、テラコヤ生徒の家庭は学費以外に掛かる制服代、給食費、期末試験料、維持費等を支払えず、子どもが学校に行くこと、または、行き続けることが出来ません。日本円にすると、1学期に掛かる費用は約2500円ですが、テラコヤ生徒の家庭は食べていくことだけで精一杯です。
 「なぜテラコヤ教室ではなく、最初から学費支援をしないのか?」という意見もあるでしょう。テラコヤ生徒の家庭の場合、学費支援をすることが良い結果に繋がるとは限りません。保護者自身も教育を受けていないことが多く、子どもへの教育を重要視しないことが少なくありません。実際、テラコヤ生徒の保護者が自分の都合で突然登校を止めさせたり、全てをテラコヤ任せにして育児放棄したりというケースもあります。よって、学費支援をしても勉学が続かない家庭が少なくありません。また、家庭環境から、テラコヤ入学当初は暴力的な生徒、先生の言うことを聞かない、時間やルールを守らない生徒がほとんどです。
 よって、テラコヤでは「読み・書き・計算」だけではなく、「教育の重要性」を子どもや保護者に教えることが大切です。「貧困」とは金銭的な貧困だけを指すのではなく、むしろ「教育の貧困」こそが問題。子どもたちが貧困スパイラルから抜け出すためにも、テラコヤは非常に重要な役割をもっています。
 今回の卒業生7人も例外ではありません。鉛筆の持ち方さえ知らなかったムザミルくん。子どもの教育に関心がなく、無責任な保護者を持つアガバくん。入学当初は非常に幼かったナンジョブさん。授業態度が悪く、1週間“停学”になったルベガくん。入学当初は勉強にまったく興味がなかったセガワくんとジワくん。英語の単語を何一つ読めなかったナバカさん。そんな彼らが卒業式で堂々と英語でスピーチをしている姿を見て、感慨無量でした。
 テラコヤを卒業した生徒たちは公立の小学校に戻り、『テラコヤ奨学金』(一人一学期約3千円)を受け残りの小学校3年間を修了する予定です(ウガンダの小学校は7年間)。将来、テラコヤ生徒が日本や米国の大学で勉強することも夢ではありません。アフリカの貧困を身をもって知っている彼らが教育を受け、いつの日か、アフリカの貧困問題を解決するリーダーになってくれることを祈っています。(沼志帆子記者=ASHINAGAウガンダ現地代表)