「あしながさん」1万人調査結果発表 〜学生国際ボランティアも大募集!!〜

 2011年1月、あしなが育英会は、継続して遺児に奨学金を送金している「あしながさん」1万人を対象とした郵送調査を実施し、5,352人が回答(回答率53.5%)しました。 共同通信社記事はこちらから 

 3月7日、調査を担当した副田義也・筑波大学名誉教授(社会学)、玉井義臣・本会会長らが調査発表を行いました。匿名で子どもたちへ寄付をする「タイガーマスク運動」が拡がっていますが、名前も告げずそっと遺児のために寄付を続ける5千人以上の「あしながさん」の意識などが明らかになりました。
 また、アフリカの遺児たちに大学進学の支援をおこない、優秀な子どもたちを民主的なリーダーに育てることを目的とした「アフリカ遺児教育支援100年構想」について、76.8%が支持しました。

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 調査内容は、応募の動機や助け合いなどに関する意識、遺児への思い、寄付を継続することでの自身の変化、本会の事業や今後の構想に関する意見などです。
 昨年1年間の送金について、不況など厳しい経済状況にかかわらず、「増額を考えた」20.1%、「増額した」4.4%で、その理由は「遺児家庭の家計が苦しそう」が6割にものぼりました。逆に2割が「減額・中断を考えた」にもかかわらず、実際に「減額した」4.1%、「中断した」3.9%のみでした。6割近くの人は、送金の中断や金額の変更なく支援し続けていることが判明しました。
 また、本会を寄付の対象として選んだのは「遺児やお母さんを応援できるから」68.1%、「教育を支援する団体であるから」53.8%と本会の基本方針に深く共感して支援していることもわかりました(複数回答)。
 さらに、アフリカの遺児たちに大学進学の支援をおこない、優秀な子どもたちを民主的なリーダーに育てることを目的とした「アフリカ遺児教育支援100年構想」について、「日本が役立つことを評価する」18.7%、「遺児同士の国際交流が図れることはいいことだ」11.7%、「アフリカの貧困が解消するのはいいことだ」10.4%など76.8%が支持しました。
 副田義也教授は「タイガーマスク運動など寄付文化に関する関心が高まっているが、かなり長期にわたって組織的に寄付活動を展開する拠点となったのがあしなが育英会であり、支援を続ける『あしながさん』の方々だ。この調査は、日本の寄付文化などに関する貴重なデータといえる。また、いまの日本の青年は元気がなく、海外留学なども尻込みしてしまうと聞く。しかし、あしなが育英会の国際的な活動は、海外への関心を若者の間に高めている。このような若者を元気にする活動を高く評価したい」とコメントしました。
 玉井義臣会長は「あしながさんにも余裕がなくなる中、節約してでも送金を続けようと遺児を思いやる優しさを持ってくださっていることをとてもうれしく思う。また、アフリカ100年構想に関しても予想以上の支持をいただいた。ブラジルなどに多くの若者を1年間海外研修させた経験からも、アフリカの遺児を救うことは、日本の遺児ら若者がたくましく成長する機会になると確信している」と述べました。

「あしながさん1万人調査発表の注目すべき発見」

副田義也・筑波大学名誉教授(社会学

1)あしながさんの9割強が「遺児とその家族を応援したい」という動機から、また5割近くが、社会的不平等是正、社会参加・ボランティアの動機から寄付をはじめている。
2)あしながさんの昨年1年間の寄付額の最頻値は12,000円13.0%。つづいて、36,000円9.5%、60,000円9.2%。なお、あしながさんの6割は「4万円未満」である。
3)1年間に寄付の減額・中断を考えたあしながさんは2割近く。理由は「収入の減少」3割。他方、増額を考えた方も2割。理由は「遺児家庭の家計が苦しそう」6割。
4)育英会の機関紙「NEWあしながファミリー」にはほとんどの方が目を通しておられ、好きな記事・大事だとおもう記事のトップは「おかあさん」で62.4%。
5)あしなが育英会を寄付の対象として選んだのは「遺児やお母さんを応援できるから」68.1%、ついで「教育を応援する団体であるから」53.8%。
6)自分を「しあわせだ」「どちらかといえばしあわせだ」と考えておられるあしながさんは93.7%。
7)「誰かに生かされてきたので、いまの生活があると思う」とするあしながさんが約5割、「これまでの自分の努力があったので、いまの生活があると思う」回答の約2倍である。
8)「あしながさん」であることを家族や友人などに話している方は8割弱、誰にも話していない方は2割弱。
9)他者に「あしながさん」になるようにすすめたことのない方が7割、理由は「自分の意志ではじめることが大切だから」78.9%、「善意のおしつけとみられたくない」29.7%、「人知れず支援をしたい」24.0%。
10)「「あしながさん」をつづけられることはありがたい」と60.3%の方が考えている。
11)あしながさんの6割近くは、ほかの子どもを支援する団体をも支援しており、その7割近くはユニセフを支援している。
12)政府と企業の役割について「政府はもっとじゅうぶんな政策をおこなってほしい」63.2%、「企業はもっと積極的に寄付などをするべき」25.2%。
13)あしなが育英会の海外遺児支援にたいして、あしながさんは「支持する」41.1%、「ある程度支持する」35.7%、両者の小計は7割強。
14)ウガンダレインボーハウスの活動の支持について、あしながさんは積極的回答63.1%、消極的回答26.2%。「アフリカの貧国への理解が深まった」31.2%。
15)アフリカ遺児教育支援100年構想の支持について、あしながさんは、積極的回答76.8%、消極的回答16.3%、平等な教育の評価21.9%。
16)日本人遺児奨学生の海外留学について、あしながさんは「もっと拡大すべきだ」27.2%、「現状のままでいい」23.8%。

「学生国際ボランティア募集!〜アフリカの貧困削減に賛同される方々へ〜

 あしなが育英会は、「アフリカ遺児教育支援100年構想」として、アフリカ大陸サハラ砂漠以南49か国の親を亡くした優秀な遺児を世界の大学に送り、卒業後、母国で世界の貧困削減のための民主的なリーダー育成を目指しております。
 その準備のため、7月、全国の大学生や本会遺児学生から募り、4〜5チーム(6人〜7人/チーム)でアフリカ諸国(東部、西部、南部、北部地区など)を回り、各国遺児の実態を調べ、各国教育大臣や各国の大学学長、大学生らと会い、「アフリカ遺児教育支援100年構想」についての理解と賛同を求める。帰国後、日本国内および全世界の学生たちに「アフリカ遺児の教育のために連帯しよう」と呼びかけていきます。
 今回、この運動に賛同し、アフリカを回る大学生たちを全国から募集いたします。
<<実施要項>>
 2011年7月)一般の大学生やあしなが育英会の遺児学生らを募集して4〜5チームを組み、アフリカ諸国(東部、西部、南部、北部地区など)を回る
 9月〜10月)学生V(ボランティア)や遺児学生らが日本国内の大学を回り、アフリカ遺児の実態や募金賛同者を求める
 12月)日本国内(47都道府県)で賛同した大学生および遺児学生らによる街頭募金実施
 2012年)小説「あしながおじさん」発刊100年記念をスタートに、世界の学生が国際世論に訴え、アフリカ遺児を世界の大学に留学させる運動を呼びかけ、支援を広めていく
 資格・条件)本会の趣旨に賛同し、日本語と英語、または仏語、またはポルトガル語が堪能な学生。国籍問わず。海外滞在経験者歓迎。※期間中の往復航空券、国内交通費、食費、宿泊費などは全て本会負担。
<<問い合わせ>>
 あしなが育英会国際課 ℡03-3221-0888 www.ashinaga.org
 担当: 岡崎email: okazaki@ashinaga.org 束田email: tsukada@ashinaga.org