苦難乗り越え日本留学、4人の海外遺児が来日

 残暑厳しい9月上旬、イラクアフガニスタン、ハイチから4人の遺児が相次いで来日。戦渦や貧困、自然災害など様々な困難をくぐり抜けてきた4人は、本会の支援を受けて、今月から早稲田大学関西大学で学びます。

 未だテロや戦闘が頻発し、政情不安が続くイラクからは、バン・アリさん(19)=画像左端=と、アフガニスタンからケイハン・アブドゥルさん(21)=左2人目=早稲田大学国際教養学部に入学します。2人は6月に入学試験のため来日、合格発表後、母国へ戻り留学の準備を進めていました。ハイチの留学生に先駆けて来日した2人は、9月1日から6日の間に山梨県山中湖で開催された「大学奨学生のつどい」に参加し、同級生らと交流をしました。今回来日した留学生のうち唯一の女性であるバンさんは、「私は父を一歳の時病気で亡くしました。イラクの復興のため、日本で一生懸命勉強したい」と400人を超える参加者を前に決意をのべました。2歳の時内戦で父親を失ったケイハンさんは、「経済的な理由や安定しない治安のため避難を繰り返し生き延びてきました」と、その困難に満ちた人生を語りました。2人はあしなが心塾(東京・日野市)に入塾し、9月21日に行われる入学式から4年間の学生生活をスタートさせます。

 1月の大震災後、未だ復興の進まないハイチから9月11日に来日したのは、ルイス・レイモンドさん(24)とジャン・ピエール・スティーブさん(20)=右端=の2人。両人とも大地震で親や家族を亡くしました。ルイスさんは高校卒業後、大学に通っていたが、震災後の混乱で正式に卒業できずにいました。ジャンさんは父親を亡くして、家族の面倒を見る傍ら、英語学校に通って大学進学のチャンスを探していました。本会はハイチ震災遺児を支援するため、3月に現地調査をし、春には関西大学との一年留学プログラムについて合意を取り交わすなど、ハイチ震災遺児の留学受け入れを準備。6月中旬、神戸の震災遺児らが義援金を届けに現地入りした際に、本会職員が67名の留学候補者を面接し、今夏2人を関西大学に推薦しました。ルイスさんとジャンさんは、1年間、虹の心塾(兵庫・神戸市)で日本人遺児学生やウガンダ人留学生らと共に生活し関西大学で学びます。