奨学生OB金木正夫副会長(50)が会長代行に就任・玉井会長は続投

〜新体制で、“世界のあしなが”めざす〜

 あしなが育英会の第31回理事会・第28回評議員会が3月27日都内で開催され、会長代行に金木正夫現副会長が、新副会長に藤村修現理事がそれぞれ選任されました。なお、玉井義臣現会長は続投。下村博文、村田治、村山武彦、青野史寛の現副会長も引続き再任が決まり新体制を支えます。
 玉井会長(75)は今後も会長として遺児救済に専心していく覚悟ですが、自身の健康問題(パーキンソン症候群)もあることから、「次期会長は金木氏に」という過去十数年にわたる願いも強く、会長万が一の場合は金木会長代行が引き継ぐ予定です。
 金木会長代行(50)は大学奨学生OBで、東京大学卒業後、同大学で臨床経験を積み、現在、米国ハーバード大学医学部准教授。米国の大不況下も米国政府や学会からの研究費を確保し、渡米以来15年間、糖尿病、重傷感染症エイズなどの新しい治療法開発のための基礎研究を続け各国の医師、研究者を指導しています。
 東大生時代の84年、「山中湖のつどい」(大学奨学生のつどい)学生初の総合司会を務めました。現在も、毎夏、山中湖に駆けつけ講師を務める一方、奨学生の海外研修や海外遺児の日本留学支援にアドバイスをいただくなど、本会の発展に多大な貢献をしていただいています。今後も会長代行としてあしなが育英会の新時代に向け玉井会長を支えていきます。

 あしなが運動40余年、遺児母子発意の「子どもの貧困対策基本法」制定に向け超党派で動き出すなど、国内の遺児の救済は大きな意味で一定の成果をあげつつあります。金木会長代行は就任にあたって「世界的規模で格差社会が急速に進行する中、あしなが育英会には“現状維持”という選択肢はない。今、私たちができる、そして、あしながファミリーだからこそできる新しい目標、理想、旗をたてる時期が来ている」とし、次のように抱負を語りました。
 「あしなが育英会は『“新たなる”教育の時代』に入りつつある。日本においても海外においても、格差社会の中で希望を失い、高校を卒業できても就職先が決まらないという現状の中、奨学金だけでは問題はますます解決できなくなっている。全ての遺児の進学の夢を確実に実現するとともに、悲しみと貧困の中で苦労し頑張っている遺児家庭のお母さんやお父さん、子どもたちの声を社会に伝えたい。グローバル経済の今日、就職難、失業、派遣切りは海外での格差社会の進行と連動している。国内の遺児家庭の貧困問題に本格的に取り組んでいくためにも、世界の遺児との連帯が大切になってくる。あしながさんに育てていただいた私たち奨学生OB・OGがあしながさんの『無償の愛』を世界に拡めたい。現在、小説『あしながおじさん』出版100年の2012年を機に、最も貧しいといわれているアフリカの遺児が日本だけでなく世界の大学に留学し勉強できるよう、海外でも賛同を呼びかける運動を行う準備が進行している。彼らと一緒に、お互いに助け合い励まし合い切磋琢磨していく“あしなが社会(フィランソロピー社会)”をつくっていくことにチャレンジし、世界に貢献していくグループに成長することをめざしたい」